また春が巡ってきました。旅立ち、そして入学、入社と、人それぞれ人生の節目を迎える季節です。この時期、いろいろ悩んだ人もあるでしょう。順風満帆に事が進んだ人もあるでしょう。人生のあらゆる段階で、私たちはいろいろな決断を迫られながら歩んでいます。自らが下した決断、それは自分自身が背負わなければならない責任でもあります。
今年の成人式は、会場で酒を飲んで騒いだりする一部の若者の行動が問題になりました。形式的な式典はつまらないと若者は言い、つまらないのなら何故参加するのかと不思議に思われた人も少なくないことでしょう。ある講演で、人には「集団欲」があると聞きました。多くの仲間と一緒にいることで安心を得るようです。「みんなが行くから…」と参加するも、「くだらない挨拶なんか聞きたくもない」と、それよりも何か目立つことをやってやろうという軽い気持ちがあのような行動になったのでしょうか。
平成六年までの八年間にわたり花園大学の学長を務められた故・盛永宗興老師が、「責任」とは背負わざるを得ないものであり、どのような状況にあっても自分の心が安定し、敏感に、感受性豊かに周囲に対応できるよう維持する不断の努力が必要だと言われました。つまり、大人は自分自身で心をリフレッシュし、コントロールできるが、子どもは人様にご機嫌をとってもらい泣き止む、これが大人と子どもの大きな違いであるというのです。
つまらない成人式なら、本当に意義のある成人式とは何かを考えよう、それが大人であり、つまらないから誰かが変えてくれるまで暴れてやろう、これが子どもの行為ということになるのでしょうか。
大人として、社会の一員として、今を生きる私たち一人一人の責任を、今一度見直すことが必要だと思います。すべて人任せではなく、親としての責任、先生としての責任、地域の大人としての責任、それぞれが責任をしっかり自覚しなければなりません。目まぐるしく変化する社会に振り回されることなく、正しい認識に基づいた行動をとれるように不断の努力を惜しまず、新たな人生の節目を迎えるにあたり自戒といたしましょう
※(平成13年3月)